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上野簡易裁判所 昭和48年(ろ)14号 判決

被告人 吉本健次

昭二四・九・一八生 会社員

主文

本件公訴を棄却する。

理由

本件は「被告人は昭和四八年四月二六日午后一時一六分ごろ奈良県宇陀郡榛原町大字山辺三2099付近道路において法定の最高速度(六〇キロメートル毎時)をこえる七五キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転したものである」との公訴事実につき、被告人は過去一年以内たる昭和四七年八月一七日免許の効力の停止処分があるから道路交通法一二五条二項二号に該当し反則制度不該当者として公訴を提起されたものとなるところ当公判廷における被告人の供述及び司法警察員作成の「行政処分月日等の確認方依頼についての回答書」によると被告人の免許効力の停止処分は昭和四七年三月一七日で右以外には過去一年以内に免許の効力停止処分の行政処分を受けていなく且つ被告人の免許状に押捺されている右年月日のゴム印の印影が不鮮明なりし為3月を8月と見誤つたものなること。が認められる。

右事実によると被告人の本件所為は道路交通法一一八条一項二号の罪にあたる行為であるから同法一二五条一項別表により同法九章にいう反則行為に該当し、かつ記録によれば被告人は同法一二五条二項各号に掲げる例外事由がないと認められるから同章にいう反則者に該当するものといわねばならない。

ところで同法一三〇条は、反則者は同条各号に掲げる場合を除いて当該反則行為について同法一二七条一項または二項後段の規定による反則金の納付の通告を受け、かつ同法一二八条一項に規定する期間が経過した後でなければ当該反則行為について公訴を提起されないと規定しているから、もしかゝる手続を経ないで公訴が提起されたときは裁判所は公訴提起の手続がその規定に違反したものとして刑事訴訟法三三八条四号により判決で公訴を棄却しなければならないものである。記録によれば本件について道路交通法一三〇条各号の場合でないのに同条に掲記されている手続が行われていないことは明らかである。

よつて刑事訴訟法三三八条四号により主文のとおり判決する。

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